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Monthly Review

ブラウンは放出し、ゴンサレスは拒んだ、スティーブンスの7月

ジェイレン・ブラウンをポール・ジョージと引き換えに放出したボストンは、同じ月にヤニス・アデトクンボ争奪戦でウーゴ・ゴンサレスとベイラー・シャイアマンの放出だけは最後まで拒んだ。フロントが何を手放し、何を守ったかで7月の輪郭が見えてくる。

7月31日|Celtics Signal JP|読了目安:約 8
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ジェイソン・テイタムは7月中旬、ESPYsのレッドカーペットで「weird, right?(奇妙だよね)」と口にした。9年間チームメイトだったジェイレン・ブラウンが、地区のライバルであるフィラデルフィア・76ersへ放出された直後のことだ。「NBAがビジネスだと分かっていても、それで楽になるわけじゃない。人としての感情は残る」と続けたテイタムの言葉は、7月のボストンで起きたことの重さを一番率直に伝えている。

ブラウンとポール・ジョージのトレードは、米東部時間7月1日に合意が伝えられ、6日に76ers側から正式発表された。ボストンが手にしたのは、ジョージ本人に加えて2028年1巡目指名権(有利なスワップ権付き)、2031年の非保護1巡目指名権、そして2028年と2030年の2巡目指名権2本(いずれも複数チームの中で最も有利なものを取得する条件付き)。ジョージは自身のトレードキッカーを放棄しており、キャップヒットは2026-27シーズンに5412万6380ドル、2027-28シーズンに5658万6670ドルのプレイヤーオプションのまま変わらない。ブラッド・スティーブンスは公式声明で「Jaylen Brown will rightfully go down as one of the defining players of this era.(ジェイレン・ブラウンはこの時代を象徴する選手の一人として、正当に語り継がれるだろう)」と述べ、10年間の功績を称えた。だが、これは別れの言葉であって、トレードの動機の説明ではない。

動機を語ったのはジョー・マズーラのほうだった。「The biggest thing was just his competitiveness. He wasn't afraid to push you.(一番大きかったのは彼の負けん気だ。彼は臆せず人を突き動かした)」とブラウンの功績を認めつつ、「I hope people saw the leadership. The leadership jump that he took this year(彼が今季見せたリーダーシップの成長を、みんなに見てもらえていたらと思う)」とまで踏み込んだ。ここまで評価される選手を、なぜボストンは手放したのか。答えは契約年数にある。ブラウンには残り3年約1億8300万ドルという長期の縛りが残っていた一方、ジョージは実質2年で切れる。3年前から3ポイント試投数と成功数でリーグ記録を更新し続けてきたこのチームが、5月のシーズン終了会見でスティーブンスが語った「around the margins(限界利益の改善でいい)」という慎重な姿勢からわずか2カ月で大型トレードへ動いたのは、コート上の不満以上に、第2エプロンのペナルティを避けながら2031年以降のカードを手元に残すという、CBAの制約下での資産操作として読むべき動きだろう。ジェイズと呼ばれた時代は終わり、ボストンは名実ともにテイタム一人を軸にしたチームへ移行した。

ところが同じ月、フロントは正反対の判断も下している。米東部時間6月22日に合意していたヤニス・アデトクンボのマイアミ・ヒート移籍において、ボストンはブラウンと非保護1巡目指名権2本を軸にしたオファーを提示し、最終盤までミルウォーキー・バックスとの交渉に残っていた。だがバックス側がウーゴ・ゴンサレスとベイラー・シャイアマンの追加を要求した瞬間、ボストンは交渉から手を引いた。MVP級のスターを獲得する場面で、ローテーション下位の若手を出し渋るのは本来考えにくい判断だ。それでもフロントが動かなかったのは、新しいCBAのハードキャップとエプロン制限のもとで、安価にコントロールできる若手の価値が以前より跳ね上がっているからだと考えられる。ブラウンという実績十分の主力は手放し、まだ実績のないゴンサレスとシャイアマンは守る。この非対称な判断こそが、7月のスティーブンスを最もよく説明している。

ロスターの下側では、もう一つの変化が進んでいた。ニューヨーク・ニックスから獲得したミッチェル・ロビンソンは3年4740万ドルでNon-Taxpayer Mid-Level Exceptionを使用し、これによりボストンは2026-27シーズンの総年俸を第1エプロンにハードキャップされることになった。マズーラはロビンソン勧誘の裏側を明かしている。「I told him (the fouling) was a compliment.(彼にはこう伝えた、あのファウル戦術は賞賛だったんだと)」。プレーオフでボストンがロビンソンに仕掛けた意図的なファウル作戦を、逆に「君がコートにいることの脅威の証明だった」と口説き文句に変えたわけだ。「it gives us a ton of depth at the center spot(センターのポジションに厚みができる)」というマズーラの言葉どおり、ニーミアス・クエタとの4年5600万ドルの延長契約(発効は2027-28シーズンから)も合わせ、ボストンはキャリアを通じて3ポイントをほとんど打たない2人のセンターを軸に据えた。ここに38歳のマイク・コンリーがベテランミニマムで加わったことも重なると、記録的な3ポイント攻撃を続けてきたこのチームが、ペイントへ人を送り込む形へ寄っていく構造だけは見えてくる。ただしマズーラ自身が戦術を大きく変えると明言したわけではなく、断定できるのはロビンソンとクエタの起用がインサイド重視への転換を促す条件を整えたところまでだ。センターだけに純粋なインサイド役を任せ、残り4人はむしろ外へ開くという尖った役割分担になる可能性も残っている。

ロスターの末端でも同じ基準が貫かれていた。サマーリーグを率いたアミール・ジェファーソンは、ジョン・トンジェについて「I've talked the entire week about how proud I am with the effort he's given, and most of that has come defensively.(この一週間ずっと、彼が見せた努力の誇らしさを話してきたが、その大半はディフェンス面でのものだ)」と語り、得点力ではなくボールプレッシャーとローテーションの規律を評価軸に置いていることを明かした。ディロン・ミッチェルも3試合平均13.0得点、5.0リバウンドに加えてスティール2.7、ブロック1.3という運動量で評価を集めているが、本契約になるかツーウェイ契約に収まるかはまだ決まっていない。

7月を通して見えてくるのは、ブラウンという実績を手放しながらゴンサレスやシャイアマンという伸びしろを死守し、外角偏重だったチームの土台にロビンスンとクエタというインサイドの重さを足したボストンの姿だ。ただし同じ月にマイアミがアデトクンボを獲得し、76ersがブラウンに加えてレブロン・ジェームズまで迎え入れたことで、東カンファレンスの勢力図そのものがボストンにとって厳しい方向へ動いたことも見落とせない。テイタムが漏らした「weird」という一言は、単なる感傷ではなく、この夏の再編がまだ結果を出していない段階での率直な戸惑いとして受け止めるべきだろう。