クエタが拒んだオラジュワン特訓、選んだのはボストンの育成システム
4年5600万ドル延長を結んだニーミアス・クエタが、アキーム・オラジュワンの特訓参加を明言で拒否した。同じ日、トンジェ退団で空いた枠を巡るロースターの微調整も進み、ボストンが外部投資より内部の精査を選ぶ姿勢が重なって見える。
「stingy(ケチ)なんだ。10万ドルもトレーニングに払わない」。ニーミアス・クエタは母国ポルトガルの『A Bola』にそう答えた。相手はアキーム・オラジュワンだ。ポストムーブ指導で知られる殿堂入りセンターの特訓に、推定10万ドルを払ってでも参加する選手は少なくない。だがクエタは「アキーム・オラジュワンが相手でもだ(Not even with Hakeem Olajuwon)」と重ねて否定した。
この発言だけを切り取れば単なる金銭感覚の話に見える。しかしクエタが続けた言葉を読むと、話はもう少し具体的になる。「オフェンス面でハンドリングやスペーシング、ローポストでの1対1を伸ばしたい。ディフェンスでは、スイッチした後に小さい選手をヘルプなしで1対1で守り切る力をもっと自信を持って出せるようにしたい」。マズーラ体制が現代のディフェンスに求める、ドロップに頼らずペリメーターまでカバーするビッグマン像そのものだ。10万ドルの特訓を断ったのは、その課題をチーム内の育成スタッフとの日々の練習で解決できると踏んでいるからだと読める。加えてクエタは、4年契約を得た安心感にも触れている。「お金が一番大事だったわけじゃない。ボストンがこれからの4年間、自分を信じてくれたことが一番大事だった。来シーズンどうなるか気にせず、ボストンを家と呼び続けられる」。契約の長さが心理的な安定を生み、それが日々の育成への集中につながっているという構図は、フロントオフィスの計算が実を結んだ形に見える。
同じ時期に進んでいるロースターの最終調整も、外部への大盤振る舞いより内部の精査を優先する同じ姿勢を映している。サマーリーグでボストンの一員として名乗りを上げていたジョン・トンジェは、ポートランド・トレイルブレイザーズとツーウェイ契約を結んで移籍した。これでキャンプでの競争にあった一つの不確実性が消え、ドラフト全体40位指名のディロン・ミッチェルに現実的な道が開けている。ダラノ・バントン放出でタックスラインまでに残った約170万ドルの余白は、ミッチェルをルーキーミニマムの約140万ドルで15人目の本契約に組み込むには十分な額だ。ミッチェルはサマーリーグ3試合で平均13.0得点、5.0リバウンド、2.7スティール、1.3ブロックを記録し、38.5インチの垂直跳びも話題になった。ミッチェルを本契約に引き上げれば、空くツーウェイ枠はピック&ロールからのパス供給で評価を上げているミロス・ウザンに回るという見方が有力だ。ただしこれはまだ観測の段階で、フロントがシーズン開幕までこの枠をあえて空けておく可能性も残っている。ここに、マックス・シュルガの正式なツーウェイ契約締結という既に確定した事実が加わり、ボストンは限られた枠を一つずつ埋めながらウィングとガードの層を同時に厚くしようとしている。
財政面で軽いところでは、マイク・コンリーの1年契約が正式なトランザクションログに載り、NBA史上14人目となる20シーズン目がボストンで確定した。ミッドレベルエクセプションをミッチェル・ロビンソン獲得に使い切り第1エプロンでハードキャップされている今のボストンにとって、ベテランミニマムで獲れるコンリーの存在はキャップシートへの負担がほとんどない補強になる。ミネソタでの前季は出場時間もスタッツもキャリア最低水準まで落ちたが、プレーオフでアンソニー・エドワーズらが負傷した局面ではスタメンとして安定したゲームコントロールを見せていた。ボストンでの起用は未知数だが、デリック・ホワイトが背負うボールハンドリングの一部を引き受け、ペイトン・プリチャードがよりスコアリングに専念できる余地を作る駒として計算されている可能性はある。
もう一つ、別の角度から今週浮上した話もある。ESPNのシャムス・シャラニアが報じたところでは、トレードデッドラインおよび今年6月のドラフト時に、ゴールデンステイト・ウォリアーズがジェイレン・ブラウン獲得に向けてボストンと交渉していたという。ボストンが要求した対価は1巡目指名権4つを含む水準で、ウォリアーズはそれを飲まずに交渉から降りた。その後ブラウンはフィラデルフィア・セブンティシクサーズへ移り、レブロン・ジェームズも同じフィラデルフィアに合流している。この二つの出来事を一本の線でつなげたくなるが、レブロンの移籍先選択にはジョエル・エンビードやタイリース・マクシーの存在をはじめ他の要因も絡んでおり、ウォリアーズの交渉決裂だけが理由だったと断定できる材料は今のところない。ボストンにとって確認できる事実は、4つの1巡目指名権という対価を最後まで譲らなかったことだけだ。
キャンプ開幕に向けて残る注目点は、ミッチェルが本契約かツーウェイかのどちらで枠に収まるか、そしてウザンが実際にツーウェイへ昇格するかどうかだ。どちらも公式発表はまだ出ていない。