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ミッチェルに浮上した大学復帰オプション、Celticsは指名権を握ったまま

コロラド州連邦地裁の仮処分でディロン・ミッチェルに大学復帰の法的選択肢が生まれた一方、Celticsは指名権を失わずに彼を育成できる。同じ日に伝わったデマー・デローザン獲得観測は、900万ドルというタックスラインまでの余白の薄さを浮かび上がらせている。

8月5日|Celtics Signal JP|読了目安:約 6
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ディロン・ミッチェルはまだCelticsとツーウェイ契約を結んでいない。今夏のドラフト2巡目、全体40位で指名されたウイングの去就に、コロラド州の連邦地方裁判所が思わぬ選択肢を持ち込んだ。Charlotte Sweeney判事は8月1日(米東部時間)、2022年に大学入りした選手に対してNCAAの5年目出場資格を認める仮処分を下し、これによりミッチェルにはSt. John's大学へ戻るという法的な道が開かれた。

背景にあるのは単純な損得勘定だ。Celticsが提示できるツーウェイ契約の基本給は約67万8,882ドルであるのに対し、大学スポーツのNIL(Name, Image, Likeness)による収入は、有力選手であればこの水準を上回りうるためだ。契約書にサインしていない今のミッチェルにとって、大学に残る経済的な理由は決して弱くない。

ここでボストンにとって重要なのは、ミッチェルが大学に戻ってもドラフトでの交渉権自体は失わないという制度上の仕組みだ。NBAのルール上、Celticsは彼を指名した権利を保持したまま、ロスターの第15枠やツーウェイ枠を一切消費せずに済む。実質的には「国内ドラフト&スタッシュ」として、大学のプログラムに育成を委ねる形になる。もっとも、NCAAの最高法務責任者Scott Bearbyは加盟校向けのメモで「The District Court of Colorado's decision...is egregiously wrong(コロラド地裁の判断は著しく誤っている)」と述べ、控訴と仮処分の効力停止を求める構えを明言した。加えて「プロ活動への参加」規定は依然として有効だとも釘を刺しており、サマーリーグですでに3試合プレーしたミッチェルのケースがこの規定に抵触するかどうかは、NCAA側からの個別見解も判例も示されていない。ミッチェル自身が大学復帰を望んでいるのか、それとも交渉材料として法的選択肢が浮上しているだけなのかも、現時点では見分けがつかない。

ロスター枠にゆとりを持たせられるこの一件は、Celticsが今オフに徹底しているもう一つの規律と重なって見える。保証付き14人の総年俸は約1億9,100万ドルで、第1エプロンを含むタックスライン約2億ドルまでの余白はおよそ900万ドル。リピータータックスは超過額が同じでも税率がほぼ倍になる構造で、Bracket 1だけでも非リピーターであれば超過1ドルにつき1ドルの課税であるのに対し、リピーターは3ドルを支払う計算になる。今季をこのラインの下で終えれば2029-30シーズンまで非リピーター扱いに戻れるため、フロントにとって900万ドルのバッファは編成上の下限に近い。

この余白の薄さが、Sacramento Kingsをウェイブされたデマー・デローザンの去就報道に緊張感を与えている。直近シーズンで77試合に先発し、平均18.4得点、フィールドゴール成功率49.7%を残したデローザンは、800万から1,000万ドル規模の契約を求めてフリーエージェント市場に出ている。Bleacher ReportのDan Favaleは「The Celtics have the spacing to cover up for DeRozan's finite range and could use another secondary table-setter other than Jayson Tatum, Payton Pritchard and Derrick White(Celticsにはデローザンの限られたレンジを補えるスペーシングがあり、ジェイソン・テイタム、ペイトン・プリチャード、デリック・ホワイトに続く第2のプレーメーカーを必要としている)」とフィットの良さを指摘しつつ、「Adding DeRozan would put the Celtics back in the tax. That's a no-go as they look to reset the repeater clock(デローザンの獲得はCelticsを再びタックスラインの上へ押し戻す。リピータークロックのリセットを狙う以上、それは受け入れられない)」と釘を刺す。1,500万ドルの非タックスペイヤー・ミッドレベル例外を使えば数字の上では届く相手だが、それを行使した瞬間に900万ドルのバッファは消え、今季最も重視しているタックスライン回避の目標を失うことになる。Favaleが最後に添えた「トレードデッドラインか2027年ドラフト前の小規模トレードで下へ潜り直せる」という一文は、裏を返せば今すぐの獲得には既存のサラリーを吐き出す動きが前提になるという留保でもある。

Celticsが実際にデローザンへ接触しているのか、それともアナリストによるフィット予測の段階にとどまっているのかは、現状の報道からは判別できない。ミッチェルの大学復帰についても、NCAAの控訴と仮処分の効力停止をめぐる司法判断が固まらない限り、話は動かない。ただ、指名権を失わずに育成の選択肢を残せるミッチェルの一件と、900万ドルのために欲しい選手すら見送らざるを得ないデローザンをめぐる一件は、同じフロントが同じ夏にどこまで数字にこだわっているかを、違う角度から映し出している。