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トレード後の没交渉をブラウンが認めた「Not really」

フィラデルフィアの入団会見で、ジェイレン・ブラウンはトレード後にジェイソン・テイタムと話していないと明かした。ビル・シモンズが語る戦術的フィット論と、セカンドエプロンを超過したままの編成事情まで、セルティックスの今夏を貫く2つの軸を追う。

8月7日|Celtics Signal JP|読了目安:約 6
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ニュージャージー州カムデンで行われたフィラデルフィア76ersの入団会見で、ジェイレン・ブラウンはトレード成立後初めて公の場に立ち、ジェイソン・テイタムとの関係について問われた。「We won a championship together, ...on my end, it's nothing but respect(一緒に優勝したパートナーだ。自分としては敬意しかない)」と大人の対応を見せたブラウンだが、トレード後にテイタムと話したかと聞かれると、返ってきたのは短い一言だった。「Not really(あまり話していない)」。長年ボストンの攻守を支えたデュオが、公式な言葉の上では敬意を保ちながらも、実際には会話を交わしていないという事実が、本人の口から明かされた。

この静かな断絶の背景には、フロントオフィスが下した非情な計算がある。ブラッド・スティーブンスはシーズン終了会見で、自身のデスクに掲げている標語を明かしていた。「I've got a little sign above my desk, that says, 'What do you want, what's true, and how do you get there?'(デスクの上に、何を望むか、何が真実か、そこへどう辿り着くか、と書いた札を掛けている)」。感情論を排し、チームの現在地から逆算して判断を下すという、この編成哲学が、ブラウン放出とポール・ジョージ獲得という決断の裏側にあったことは想像に難くない。

実際、ビル・シモンズはこのトレードの意図をより具体的に言語化している。「I think they felt like [Paul George] might be a better fit at this point in [Jayson] Tatum's career...I think they wanted some of their other younger swings to play more(この段階のテイタムのキャリアにとって、ジョージの方が相性が良いと感じていたと思う。それに、他の若手ウイングをもっとプレーさせたかったのだろう)」。ボールを持つ時間が長く、プレーエリアが重なりがちだったブラウンに対し、オフボールでの得点力に長けるジョージはテイタムの負担を軽減し、フロアの間隔を広げる効果が期待される。同時に、この一手が生んだ出場時間の空白は、チームフレンドリーな延長契約を結んだジョーダン・ウォルシュやロン・ハーパー・Jr.のような若手ウイングの育成期間を確保する意味も持つ。

ただし、この「フィット」の議論だけでボストンの判断を説明し切るのは早計だろう。20年以上チームを保有してきたワイク・グラウスベック陣営からの売却手続きが完了し、プライベート・エクイティ出身のビル・チザムが新たな筆頭オーナーとしてセルティックスの経営権を握った今、フランチャイズはCBAの厳罰化されたセカンドエプロン制度と正面から向き合う局面に立っている。分析サイトの推計では、2026-27シーズンのセカンドエプロン基準額が221,686,000ドルであるのに対し、ボストンのロスター総年俸は約222,950,977ドルとされ、約126万ドルの超過状態にある。ここには計算タイミングの差による幅があり、別の集計では基準を下回る数字も出ているため、最終的な着地はシーズン開幕時の確定ロスターを待つ必要があるが、超過が確認された数字を前提にすれば、シーズン終了時までこの状態が続けば2034年のドラフト1巡目指名権が自動的に凍結される重いペナルティが発動する。新オーナー陣がこのわずかな超過のために将来の資産を犠牲にするとは考えにくく、開幕前かトレードデッドラインまでに下位ロスターの整理が入る可能性は高い。

この財務事情は、ジョージの契約が抱える別の制約とも重なる。新CBAでは、キャップスペースを持たないチームがトレードで放出額の100%を超えるサラリーを受け取ると、自動的にファーストエプロンでのハードキャップが適用される。すでにセカンドエプロンを超過しているボストンが、将来ジョージの契約を使ってより高額なスター選手を獲得しようとしても、この制限に阻まれる可能性が高い。つまり「フィットの最適化」として語られる今回のトレードは、同時に「これ以上の単発ビッグディールはシステム上ほぼ組めない」という編成上の縛りも背負い込んだ選択だったことになる。

一方で、この夏の内部の空気は外向きの評価とはねじれている。2024年のNBAファイナル制覇と2025-26シーズンの56勝という戦績で年間最優秀コーチ賞を受けたジョー・マズーラは、7月半ばの報道でエリック・スポールストラが率いるアメリカ代表(Team USA)のコーチングスタッフから外れたことが確認された。国内での実績と国際的な評価の間にギャップがあることを示す一件だが、その一方でニーミアス・クエタ、ジョーダン・ウォルシュ、ロン・ハーパー・Jr.という若手ロールプレイヤー3人は、市場で自分の価値を試すことなく、既存契約の最終年に上乗せする形でチームフレンドリーな延長契約にサインしている。ブラウンとテイタムの間に生まれた沈黙とは対照的に、マズーラのシステムに対する選手側からの信頼は、この夏むしろ強まって見える。

開幕までに注目したいのは、セカンドエプロンの超過をどう削るか、そしてクエタとフリーエージェントで加入したミッチェル・ロビンソンのどちらがキャンプでスターターの座を掴むかという2点だ。いずれも、テイタムを中心にどう戦力を組み直すかという、今夏のボストンが下した判断の続きにある。