キャップ70%発言の裏で、カリーに探りを入れたスティーブンス
ブラッド・スティーブンスはジェイレン・ブラウン放出の理由を「キャップの70%が2人に集中する構造」と明言し、クエタの延長契約でも同じ規律を貫いた。その一方でゴールデンステートへステフィン・カリー獲得の探りを入れていたという報道もあり、同じ週の中に矛盾した動きが並んでいる。
ジェイレン・ブラウンを放出した理由について、ブラッド・スティーブンスは7月6日の会見で驚くほど数字に寄せた説明をした。「The path looked a little bit more challenging to me. ... with 70% of our (salary) cap, and such a high percent of our usage tied into two players.(この先の道はもう少し厳しく見えた。2人の選手にキャップの70%と使用率の高い割合が集中している状態では)」。優勝した年の2人のキャップ占有率は47%だったといい、その数字と比べれば70%という水準がどれだけ跳ね上がったかが伝わる。スティーブンスはさらに、現行のCBAへの異議も口にした。「We may not be sitting here if there was a rule in the CBA that said the guys that you drafted that you sign to 35% supermaxes count as 25% of the cap.(ドラフトで指名して35%のスーパーマックスを結んだ選手を、キャップ計算上は25%として扱うルールがCBAにあれば、こんな場所に立っていなかったかもしれない)」。自前で育てた選手への大型契約が、キャップの現実の割合よりも重く計算される制度そのものを問題視した発言で、ブラウンを放出したのは戦術的な判断ではなく、制度上の計算だったという説明になる。
クエタの延長契約に映る同じ規律
この規律は、ニーミアス・クエタの4年5600万ドルの延長契約にもそのまま表れている。2026-27シーズンは既存のチームオプション(約266万ドル)を行使してキャップへの影響を極小に抑え、高額な保証部分が始まるのはその翌年からだ。スーパースター2人にキャップの大半を割く危うさを説いたのと同じ口で、センターの契約は支出のタイミングを1年ずらして負担を分散させている。ブラウン放出の弁明として語られた「70%」の反省が、実際のロスター運用でも一貫して機能している格好で、今回の延長契約はその実例として読める。
それでも動いたカリーへの探り
ところが同じ時期に、スティーブンスはゴールデンステート・ウォリアーズへステフィン・カリー獲得の探りを入れていたと報じられている。ポール・ジョージ、サム・ハウザー、複数の1巡目指名権を組み合わせる構想だとされ、年俸62Mドルを超える38歳のスターを迎える話だ。2人の選手にキャップを集中させないという理屈でブラウンを放出した直後に、その理屈と正面からぶつかる規模の契約を持つ選手へ声をかけているように見える。この報道は現時点でトレード実現の確度を示すものではなく、球団同士の初期段階の打診というレベルにとどまる。ジョージの契約が来季プレイヤーオプションという動かしやすい設計になっている点は、フロントがいつでも大きな一手を打てる状態を保っていることの裏づけにはなるが、カリー本人の意思やウォリアーズの再建判断という不確定要素は多い。ウォリアーズがこの夏カリーに提示するとされる新たな延長契約が拒否されるかどうかが、この探りの現実味を左右する最初の分かれ道になる。
ブラウン本人はまだこの別れを整理しきれていないようだ。MITでのイベントで「I'm still trying to make sense of it, I'm still trying to process it.(まだ状況を整理しようとしているところだし、理解しようとしているところだ)」と語った。ジェイソン・テイタムも新刊のイベントで「You play on a team with a guy for nine years. ... one day you find out that they're no longer on your team anumore.(9年間一緒にプレーした相手がいて、ある日突然、その選手がもうチームにいないと知る)」と述べ、9年間の関係が急に切れたことへの戸惑いを認めている。テイタムが自身のバスケットボールキャンプで語った「I don't wanna be the smartest person in the room.」という一節は、直前に流れていたBrown批判的な論調と結び付けられ、SNSや一部メディアで「Brownへの当てこすり」として消費された。ただしこの発言がブラウンを念頭に置いたものだという確証はなく、意図は本人の口からまだ説明されていない。