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ShaqがCelticsに突きつけた「インサイドを攻めよ」という問い

シャキール・オニールはJays解体論を否定し、Celticsの敗因を「3P依存と試合中の修正能力の欠如」と指摘した。Game 7でニコラ・ブーチェビッチをDNPにしたマズーラHCの采配と、若手の不起用がそれを象徴している。ロスターの才能ではなく、インサイド起点のアクションをシステムに組み込む意思があるかが今夏の核心となる。

6月2日|Celtics Signal JP|読了目安:約 8
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ファイナルがニックスとスパーズの顔合わせで進むなか、Celticsを巡る論点はTPEの行使先から、もう一段深い問いへ移りつつある。フロントの財政的な整備と資産設計の方向性は5月中に大枠が見えてきた。では次に検証すべきは何か。今回のデータが示すのは、コート上の戦術設計そのものへの問いかけだ。シャキール・オニールの発言を起点に、Game 7で浮き彫りになった構造的な課題を整理する。

オニールは日本時間5月28〜29日にかけて配信された『The Rich Eisen Show』で、メディアを騒がせているJays解体論を一蹴した。「2人のアルファは同じチームで共存できる」と断言し、自身とコービー・ブライアントの関係を引き合いに出した上で、テイタムとブラウンの間に問題があるのではなく、問題の根源は「試合中の修正能力の欠如」にあると指摘した。彼が使った言葉は簡潔だ。「ジャンプシュートで生き、ジャンプシュートで死ぬ。シュートが2本続けて外れたとき、確率の高いインサイドを攻めに行くメンタリティを持たなければならない。それが彼らが負けた理由だ」。

歴史的な攻撃力と、プレーオフで露わになった脆さ

2025-26シーズンのCelticsは、オフェンシブ・レーティング(ORTG)でリーグトップクラスの120.8を記録した。チーム平均3P成功率は36.5%を維持し、徹底したドライブ・アンド・キックと5アウトのスペーシングで、レギュラーシーズン56勝26敗という成績を残した。56勝という数字は、ジェイソン・テイタムが開幕から不在だったことを考えれば驚異的だった。ジェイレン・ブラウンは1試合平均約30得点でMVP候補に名を連ね、チームをイースタン・カンファレンス第2シードへ導いた。

その同じシステムが、76ersとのプレーオフ第1回戦で崩壊した。3勝1敗とリードしながら3連敗を喫し、日本時間5月3日に行われたGame 7では100-109で敗れた。76ersのジョエル・エンビードが34得点・12リバウンド・6アシスト、タイリース・マキシーが30得点・11リバウンド・7アシストを記録する中、ブラウンは33得点を挙げたが一人では流れを変えられなかった。

ビル・シモンズはマズーラHCがシリーズ途中で「レギュラーシーズンで機能したアイデンティティを自ら放棄し、現行ロスターに合わない旧来のスタイルへ回帰した」と批判している。3Pが入らない時間帯に代替ルートを提示できず、ハーフコートオフェンスが機能不全に陥ったという見立てだ。

Game 7でのブーチェビッチDNPが示すもの

ここで注目すべきは、フロントが用意していた「インサイドの切り札」の扱いだ。

2026年2月6日(日本時間)、Celticsはアンファニー・サイモンズと2026年の2巡目指名権をシカゴ・ブルズへ送り、ニコラ・ブーチェビッチと2027年の2巡目指名権を獲得するトレードを実行した。ニコラ・ブーチェビッチはオールスター経験を持つビッグマンで、ハイポストやローポストからオフェンスを組み立てる「ハブ」としての能力を持つ。加入後の試合では25分で28得点・11リバウンドを記録する日もあり、ロスター全体のオフェンスの幅を広げる存在として期待されていた。

しかし、マズーラHCはGame 7でニコラ・ブーチェビッチをコートに一秒も立たせなかった。ジョエル・エンビードがペイントを支配する試合で、自軍最高のインサイドオフェンスのオプションをDNPにした判断だ。

これを「ニコラ・ブーチェビッチの実験が失敗した」と総括する声もある。だが別の見方も成り立つ。ポストエントリーのルートがシステムに組み込まれていなければ、ニコラ・ブーチェビッチはドライブ・アンド・キックの流れから外れた「浮いた存在」になる。Game 7のDNPは選手の力量の問題というより、ペリメーター主導のオフェンスに固執したシステム設計の帰結だったとも読める。

同じ問題がジョーダン・ウォルシュにも見える。ウォルシュはレギュラーシーズン中に20試合連続で先発し、3Pを47.4%の確率で沈めるなど、ローテーションに不可欠な3&Dウィングとして台頭していた。だがテイタム復帰後は出場機会が激減し、DNPが続いた。皮肉なことに、敗色が濃くなったGame 7の終盤になって突然起用されるという一貫性のない采配だった。

ヒューゴ・ゴンザレスも同様の文脈に置かれる。スペイン出身のルーキーはレギュラーシーズン74試合に出場し、3月のバックス戦では18得点・16リバウンド・3スティール・2ブロックという、ラリー・バード以来のCelticsルーキー記録を打ち立てた。ブラッド・スティーブンスは彼を「チームの前進にとって不可欠な要素」と評価しているが、プレーオフでの起用は限定的だった。

インサイドを使えば何が変わるか

オニールがかつて自身の成功体験として語った方程式は「序盤は俺(Shaq)にボールを集める。第4クォーターになったらコービーが引き継ぐ。そうやって乗り切ってきた」というものだ。時間帯や状況に応じてボールタッチを分散させる発想であり、Celticsに欠けているものをシンプルに言語化している。

現在のCelticsでは、テイタムとブラウンがポゼッションの初期段階からピック&ロールのハンドラーとなり、アイソレーションで打開することが求められる。ニーミアス・クエタやルカ・ガルザはスクリーナーかアウトサイドのスペーサーに限定され、ファーストアクションでインサイドを脅かす役割は与えられていない。

もしハーフコートの初期セットにニコラ・ブーチェビッチのローポストやニーミアス・クエタへのロブパスが組み込まれていたら、相手ディフェンスは収縮を余儀なくされ、テイタムやブラウンはより有利な状況でのクリエイションに専念できた可能性がある。ジャンプシュートが外れた時間帯の「逃げ道」が用意されていれば、Game 7の展開は変わっていたかもしれない。もちろんこれは仮定の話だが、その逃げ道がシステムに存在しなかったことはGame 7の経過が示している。

Shaqの助言が指すのも同じ方向だ。Jaysを解体してブラウンをヤニス・アデトクンボと交換しても、3P依存の戦術設計が変わらなければ同じ問題が繰り返される。必要なのはロスターの入れ替えではなく、インサイドを起点とするアクションをシステムに組み込む意思決定だ、という読み方が成り立つ。

次に見るシグナル

サマーリーグや夏のワークアウトで、ポストエントリーやビッグマンを経由したハーフコートセットがどの程度試みられるかは、マズーラHCの戦術的な方向性を占う最初の材料になる。ニコラ・ブーチェビッチの来季の扱い(保有するか、トレード市場での再評価か)に関するスティーブンスの公式コメントが出れば、フロントがインサイドの得点ルートをどう評価しているかが見えてくる。また、テイタム復帰後に役割を失ったウォルシュとゴンザレスが、ローテーション再構築のどこに位置づけられるかも継続して注視したい。コートの外ではTPE行使先の議論が続くが、戦術設計の修正が先に進むかどうかが、今夏のCelticsを読む上で別の軸として浮上してきた。