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セナック・Jr.に課された「ブロックを最優先せよ」という要求

27位指名のルーキー、クリス・セナック・Jr.がサマーリーグでブロックを量産している背景には、コーチ陣からの明確な要求があった。ジョー・マズーラが語る「新しいアイデンティティ」づくりの具体例として読める動きだ。

7月17日|Celtics Signal JP|読了目安:約 5
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ヒューストン大学時代のクリス・セナック・Jr.は、身長6フィート11インチ、ウイングスパン7フィート5インチという体格を持ちながら、ブロック数は37試合で平均0.5本にとどまっていた。ペリメーターへ引き出される守備を任されていたためで、ペイントの中で仕事をする機会そのものが少なかったという構造上の問題だ。それが、セルティックス入り後のサマーリーグでは4試合で計12本、平均2.8本まで跳ね上がっている。数字だけを見れば急成長に見えるが、本人の説明はもっと具体的だ。「That's something that they've been preaching to me since I've gotten here that I need to do [shot blocking]. And I'm a player that's going to do whatever it takes. Whatever the organization needs me to do.(セルティックスに来てからずっとブロックをやるべきだと言われてきた。自分は組織が求めることは何でもやる選手だ)」と語っており、匿名のスカウトも「Houstonでは彼の立ち位置が外すぎた。インサイドに置けば全く別の結果になる」と指摘している。つまりこの数字の変化は、才能が突然開花したという話ではなく、セルティックスのコーチ陣がセナックの使い方を意図的にペイント中心へ切り替えた結果として読むべきものだ。ドラフトで予想より低い27位まで滑ったことについても、セナックは「I dropped way lower than I was supposed to in the draft, so I'm coming out, showing everybody what I'm capable of doing and regretting the decision that they made.(自分は予想よりずっと低く指名された。だから、指名を見送ったチームに後悔させるようなプレーを見せていく)」とはっきり口にしており、サマーリーグ代行ヘッドコーチのAmile Jeffersonも「彼はどんな要求にも応える、動けて生きた身体を持つ選手だ。コートに30分いるだけで才能があふれているのが分かる」とコーチ陣からの評価を裏づけている。

この再定義がなぜ今のセルティックスにとって意味を持つのか。ヘッドコーチのジョー・マズーラが今夏に語った言葉を重ねると輪郭がはっきりする。ジェイレン・ブラウンをフィラデルフィアへ放出したことについて、マズーラは「There needs to be a grieving process for losing not just a player in Jaylen, but a person in Jaylen.(ジェイレンという選手だけでなく、一人の人間を失ったことに対する喪失の過程が必要だ)」と率直に認めたうえで、「We have a different roster, we have a different identity now...the challenge lies in how do we create that identity?(今は違うロースターで、違うアイデンティティを持っている。その課題は、どうやってそのアイデンティティを作っていくかだ)」と続けている。ジェイソン・テイタムも先ごろESPYSの会場で、9年間チームメートだったブラウンについて「To be transparent, it's weird.(正直に言えば、奇妙な感覚だ)」と初めて公の場で心境を語り、ビジネスとしての割り切りと新加入選手への歓迎を同時に口にした。優勝コアの一角を失った動揺と、新しいチームの形を作る必要性が、現場のトップ二人の言葉から同時に伝わってくる。

セナックのブロック数増加は、この「新しいアイデンティティ」づくりの一部が、外部からの大型補強だけでなく、ドラフト下位で獲ったルーキーの使い方を変えることでも進んでいることを示す具体例だ。ただし、サマーリーグの守備強度は緩く、相手のスキル不足がブロック数を押し上げている可能性は残る。レギュラーシーズンの接触の中で同じタイミングとジャンプ力を発揮できるかは、まだ証明されていない。ブラッド・スティーブンスがブラウン放出について「西カンファレンスのチームから同条件のオファーがあれば、そちらを選んでいただろう」と認めていた事実も含め、セルティックスの今夏の再構築は、感情的な整理と戦術的な狙いが同時進行で走っている段階だと見ておいたほうがいい。