コンリー加入でプリチャードの持ち場が変わる、託されるブラウンの得点力
ジェイレン・ブラウンがボストンに別れを告げた同じ時期、フロントはマイク・コンリーの加入でペイトン・プリチャードの持ち場を書き換えようとしている。ブラウン不在時に平均25.2得点を残した実績と776万ドルという契約の安さが、今季の得点力をどこまで肩代わりできるかが焦点となる。
ボストン・コモンに集まったファンを前に、ジェイレン・ブラウンは優勝トロフィーとファイナルMVPトロフィーを携え、こう語った。「I'm so grateful that there's so many people here showing us love. Just know the feeling is mutual.(こんなに多くの人が愛を示してくれることに感謝している。この気持ちはお互い様だと分かってほしい)」。そして「Boston, I love you. I f—k with you. Boston, thank you.(ボストン、愛してる。お前らに惚れてる。ボストン、ありがとう)」と続けた。ミシェル・ウー市長からは「Jaylen Brown Way」の特製ストリート標識が贈られ、10年間を過ごした街との別れは、感情の伴う祝祭として幕を閉じた。
ただし、この送別と同じ時期に、フロント側の言葉はもっと乾いていた。GMになりたいというファンの声について問われたブラッド・スティーブンスは「I get a lot of emails and a lot of people that ask about wanting to be a GM. I'm like, 'I wish you would've been around last summer when we basically had to trade Jrue Holiday.' That's like brutal. Or we go through this long arduous process and ultimately decide to trade Jaylen, whose numbers will likely go up in the rafters in Boston. Not fun.(GMになりたいという声はたくさんくる。去年の夏、ドリュー・ホリデーを事実上トレードせざるを得なかった時にその場にいてほしかったと思う。あれは残酷だ。あるいは長く苦しい過程を経て、いずれ背番号がボストンのアリーナの天井に掲げられるであろうジェイレンをトレードする決断を下す。楽しくはない)」と述べている。ブラウンが去った理由を釈明するのではなく、その決断の重さを認める言葉として響く。
776万ドルの答え
感情の整理の先に残るのは、コート上の実務的な課題だ。ブラウンが抜けた分の得点力を誰が埋めるのか。その最有力候補がペイトン・プリチャードだ。ブラウンが欠場した直近10試合では、平均25.2得点、7.0アシスト、4.8リバウンド、3P成功率44.4%を記録し、チームは8勝2敗で乗り切っている。プリチャードの契約は4年3,000万ドル延長の3年目にあたる今季でキャップヒット776万ドルにすぎず、リーグでも際立って割安な契約として扱われている。
この構図に変化を加えたのが、マイク・コンリーの加入だ。38歳、今季で20シーズン目となるベテランを1年ミニマム契約で獲得したことで、ボールを運ぶ役目を専任で担える第3のポイントガードがロッカールームに入った。Hardwood Houdiniは、この加入によってプリチャードを「彼のベストな役割」から外すべきだと論じている。これまでブラウン不在時にプリチャードが担っていたのは、パスを配りゲームを組み立てる進行役だった。コンリーがその仕事を分担できるなら、プリチャードはよりオフボールでシュートを狙い、得点に専念する立場へシフトできる。ブラウンが持っていた高い使用率を、776万ドルの契約でどこまで肩代わりできるかは、開幕後の実戦でしか確かめられない。
リングの下で進む投資の管理
フロントコートでは、別の形で慎重さが表れている。4年5,600万ドルの延長契約を結んだばかりのニーミアス・クエタは、FIBA予選のポルトガル代表としてスペイン戦に出場し、24分間で16得点、9リバウンド、2スティールと活躍したものの、第4クォーターに足首を負傷して途中退場した。ポルトガル代表のゴメスHCは「ゼロリスク」を理由に、それ以上の出場を止めたと説明し、現地にボストン・セルティックスのメディカルスタッフが帯同し、ポルトガル側の医療チームと連携して状態を確認していたことも明らかにしている。新たに数千万ドル規模の投資を行った選手を、シーズン外の代表戦の現場でまで直接管理する姿勢は、ミッチェル・ロビンソンという負傷の懸念を抱えるビッグマンを同時に擁するチーム事情と無関係ではない。次戦のジョージア戦にクエタが出場できるかどうかは、まだ確定していない。
ブラウンの送別と、スティーブンスの「残酷だ」という言葉、そしてプリチャードとコンリーの組み合わせは、同じ夏に起きた別々の出来事ではなく、一つの決断が生んだ連鎖として並べて読める。ロスターの15枠目を空けたままタックスラインまで余裕を残す運用が続く中、フロントが賭けているのは、大型契約による外部補強ではなく、内部で安価に育った選手の成長だということが、この配置から浮かび上がってくる。