FIBAで20得点11リバウンドを叩き出したクエタ、ロビンソン加入後もセンター争いは終わらない
ポルトガル代表でのクエタの復帰劇と、非タックスペイヤーMLEで獲ったミッチェル・ロビンソンの負傷歴が、開幕センターの椅子を再び揺らしている。スティーブンスが語る「厚い選手層」の設計思想とともに読み解く。
スペイン戦で途中退場し、負傷が懸念されていたニーミアス・クエタが、その数日後のジョージア戦にスターターで復帰し、20得点、11リバウンド、4ブロックを記録した。ポルトガル代表を率いるマリオ・ゴメスHCは、スペイン戦の途中退場について「merely 'precautionary'(あくまで予防的な措置だった)」と説明しており、クエタの離脱は深刻な負傷ではなく、リスクを取らない判断だったことがうかがえる。FIBAワールドカップ予選という代表戦の舞台で示されたこの数字は、セルティックスがクエタと結んだ4年5,600万ドルの延長契約が、単なる将来への投資ではなく、健康なセンターへの投資であることを裏づける事実となる。
この復帰が興味深いのは、セルティックスが同じオフに非タックスペイヤー・ミッドレベルエクセプションを使い、ミッチェル・ロビンソンを3年4,738万8,600ドル(3年目はプレイヤーオプション)で獲得しているからだ。ロビンソンは直近の2026年プレーオフでニックスの優勝に貢献したエリート級のオフェンシブリバウンダーだが、2024-25シーズンはわずか17試合の出場にとどまるなど、負傷歴の多さがついて回る。健康なクエタと、実績はあるが不安を抱えるロビンソンという組み合わせは、開幕スターターの座を、単純な力関係だけでは決められない構図にしている。レギュラーシーズンを通じたロビンソンの消耗管理やファウルトラブル対策を考えれば、クエタが先発を務め、ロビンソンを大型センター対策の切り札としてベンチに置く配置も十分に成立する。
厚い選手層を買うという決断
このセンター争いは、今夏の最大の決断であるジェイレン・ブラウンのトレードと同じ設計思想の延長線上にある。ブラッド・スティーブンスは『Behind the Banners』の中で、新CBAの制約下でのロスター構築についてこう語っている。"So, you have to really be good around the role players. The guys that you think can continue to develop and grow, guys that are willing to play a role that might be older and more accomplished. And then, you just build the best team that you can."(だからこそ、ロールプレイヤーの周りを本当に固める必要がある。成長を続けられる選手、より年上でキャリアのある選手が役割を受け入れてくれること。そのうえで、可能な限り最高のチームを作るしかない。)ブラウンのスーパーマックス契約を将来の帳簿から消したことで、デリック・ホワイトの4年1億2,588万8,000ドル、クエタの4年5,600万ドル、ジョーダン・ウォルシュの3年1,500万ドルという複数の延長契約が同時に成立している。ロビンソンの獲得も、この「1番手から12番手までを厚くする」という発想の一部であり、クエタとの競争そのものが、スターの穴を一人の後継者で埋めるのではなく層で埋めるという方針の実演になっている。
この方針を組織の言葉で支えているのが、ジョー・マズーラHCが『No Show Dogs』ポッドキャストで語った「忘れ去られること」への言及だ。"I think you have to be willing to be forgotten... If you leave and they win, and they forgot about you, you did your job."(忘れ去られる覚悟を持たなければならないと思う。もし自分が去ったあとにチームが勝ち、誰も自分のことを覚えていなければ、それは仕事をやり遂げた証だ。)ブラウンという長年の功労者が去った後も、クエタやシャイアマンのような選手が台頭してチームが機能すること自体が、マズーラにとっての成功の定義になっている。ロビンソンとクエタのどちらが開幕のジャンプボールに立つかは、まだキャンプでの競争次第だが、その競争が起こり得る状態を作ったこと自体が、今オフのフロントの仕事の一部と言える。
ウイングでも似た競争が進んでいる。昨季終盤に20試合に先発し、最終戦で30得点、7リバウンド、7アシストを記録したベイラー・シャイアマンは、マズーラから守備の多様性を評価されており、ブラウン離脱後のスターティングSGを狙う位置にいる。ロスターの最後の枠を巡っては、ミロス・ウザンとタッカー・デヴリーがExhibit 10契約から這い上がるための競争を続けており、ドラフト40位指名のディロン・ミッチェルもツーウェイ契約に合意済みとされる一方、大学復帰の噂も完全には消えていない。センター争いだけでなく、ロスターの下の層でも似た構図の椅子取りが進んでいる点は、キャンプ以降も追う価値がある。