チゾムが認めた「説得」の中身、セルティックスが15枠目を空け続ける理由
WEEIに出演したオーナー、ビル・チゾムがブラウン放出の舞台裏を語った。「Billy Banners」と揶揄されるほどの勝利宣言と、税額まで1.7Mドルに迫りながら15枠目を空ける財務規律は、同じ夏の判断としてつながっている。
フェンウェイ・パークから生放送されたWEEIの『The Greg Hill Show』に、セルティックスのリードオーナーであるビル・チゾムが出演し、ジェイレン・ブラウン放出について踏み込んだ発言を残した。「I truly believe we have the best front office in the NBA, and I think it's a source of advantage for us every day.(NBAで最高のフロントオフィスを持っていると心から信じているし、それは日々我々の強みになっていると思う)」と述べたうえで、「I really needed to be convinced to take the fan passion out of it, because I'm a super fan(一人のファンとしての感情を脇に置くには、本当に説得される必要があった。自分は熱狂的なファンだから)」と、経営判断とファン心理の間で揺れた本音を明かしている。
この発言が興味深いのは、チゾム自身が「Billy Banners」というあだ名を自嘲気味に引き合いに出しながら、「We're not playing for second. We're playing to win and to raise banners.(我々は2位を目指してプレーしているのではない。勝ち、バナーを掲げるためにプレーしている)」と勝利への執着を強調した点だ。ブラウン放出が単なるコスト削減だという批判に対する反論の姿勢は明確だが、その裏付けとなっているのがブラッド・スティーブンスの「The path looked a little bit more challenging with 70% of our (salary) cap, and such a high percent of our usage tied into two players.(キャップの70%を占め、使用率の非常に高い割合が2人の選手に結びついている状況では、この先の道はいくらか厳しく見えた)」という発言だ。トレードそのものはポール・ジョージと複数の指名権を得る形で決着しており、チゾムの言葉はその判断を正面から追認したものと読める。
この財務規律は言葉だけで終わっていない。セルティックスは現在、ラグジュアリータックスのラインまで残り1.7Mドルという極めて狭い余地を保ったまま、15人目のロスター枠を意図的に空けている。市場に残るデマー・デローザンのようなベテランと契約して埋める動きは見られず、この空白そのものが新CBA下でのリピータータックスのリセットを狙った選択であることを、ロスター状況が裏づけている。わずかな枠のためにタックスの余地を使い切ることは、チゾムが語った「勝つための執念」と矛盾しない。むしろ限られた資源をどこに使うかという判断の一貫性として重なって見える。
一方で、この規律の中でも実質的な補強は動いている。マイク・コンリーの契約はベテランミニマム例外条項によるもので、キャップヒットは2.44Mドルにとどまる。ブラウン退団によってデリック・ホワイトへ自らシュートを作り出す負担が増すと見られる中、キャリア20年目を迎えるコンリーを低コストで確保したことは、ホワイトの重圧を和らげる保険として機能しうる。ただし、コンリーがどの程度の出場時間を担うかはキャンプでの序列次第であり、現時点で断定できる材料ではない。
クエタとテイタムの相性も注目点
フロントコートでは、ニーミアス・クエタが昨季記録したテイタムとの2メンラインナップでのネットレーティング+14.6が引き続き話題になっている。テイタムは2025年5月のアキレス腱断裂から昨季終盤の2026年3月に復帰したばかりで、今季が受傷後初めて制限のない状態で迎えるフルシーズンになる。クエタのさらなる飛躍がテイタムの状態にどこまで連動するかは、プレシーズンで確認していくべき点だろう。
ヒューゴ・ゴンザレスとベイラー・シャイアマンによる先発シューティングガード争いも、9月末のトレーニングキャンプまで結論を持ち越すことになる。15枠目を空ける財務判断とチゾムの勝利宣言は既に確認できる事実として重なっているが、それが実際のロスター運用でどう形になるかは、キャンプでの競争とプレシーズンの実戦を見るまで見立ての域を出ない。