UP NEXTNEXT GAME TBD

Daily Signal

ミッチェル・ロビンソン加入で守備はドロップ・カバレッジへ戻る

FA加入のミッチェル・ロビンソンとトレードで得たポール・ジョージが、セルティックスの守備と攻撃の設計を同時に動かしている。ジェイレン・ブラウン退団の裏にあった数字と、ブラッド・スティーブンスの発言をつないで読む。

8月14日|Celtics Signal JP|読了目安:約 5
SHARE
Xで共有
ミッチェル・ロビンソン加入で守備はドロップ・カバレッジへ戻る のサムネイル画像

ミッチェル・ロビンソンと3年4740万ドルで契約したというニュースだけを見ると地味な補強に映るが、この一手はセルティックスの守備の骨格を変える。ロビンソンはリムプロテクションとリバウンドに特化した古典的なビッグマンで、ペリメーターまで出てガードを追いかけるスイッチ守備には向いていない。つまり彼がコートに立つ時間帯は、ピック&ロールに対してビッグマンが深く下がるドロップ・カバレッジを使わざるを得なくなる。ここ数年、スイッチングを多用してきたジョー・マズーラの守備は、ロビンソンの起用と引き換えに設計を変えることになる。

守備だけではない。オフェンス側でも似た転換が起きている。昨季プレイオフのデータでは、ペイトン・プリチャードのドライブからのアシスト率は17.9%でリーグ2位、トレードで加入したポール・ジョージも11.1%でリーグ9位に入る。一方でジェイレン・ブラウンはドライブから自分でフィニッシュする能力には長けていたが、キックアウトで味方を活かす数字は平凡だった。ディフェンスからすれば、ブラウンがドライブを仕掛けた瞬間に「パスではなくスコアを狙ってくる」と読みやすかった分、オフェンス全体の流動性が止まりやすかったという見立てが成り立つ。ブラッド・スティーブンスがポール・ジョージについて「Paul's a really good player. We're not very far removed from Paul sitting in our series against Philadelphia, and watching Paul be a guy who could carry you for portions of a quarter or a half. But also play a complementary role on both ends of the floor at the highest of levels.(ポールは本当に良い選手だ。フィラデルフィアとのシリーズで、彼がクォーターやハーフの一部を引っ張れる選手であり、同時に両エンドで最高レベルの補完的な役割もこなせるのを見たのは、そう昔のことではない)」と語ったのも、単なる選手評ではなく、ドライブ&キックを軸にする今後のオフェンス像への期待として読める。

70%という数字の裏側

この転換の背景には、ブラッド・スティーブンスがトレード後の会見で語った数字がある。「70% of our cap, and such a high percent of our usage tied into two players(キャップの70%を、しかも使用率の非常に高い割合を2人の選手に依存させることになった)」という発言は、2024年の優勝時にジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンの契約がキャップの47%だった状況と比べると、単なる高額契約の結果ではない。新CBAではキャップが毎年10%ずつ上がる想定だったが、地域スポーツネットワークの経営破綻が相次いだことで放映権収入の伸びが鈍化し、2026-27シーズンの実際のキャップは事前予測より600万ドル低く設定された。ブラウンのスーパーマックス契約は前年サラリーを基準に8%ずつ昇給が保証される仕組みのため、キャップ総額の伸びがそれを下回る環境では、2人のキャップ占有率が想定より急激に膨らむ計算になる。スティーブンスが同じ会見で「自前でドラフトした選手のスーパーマックスをキャップ計算上25%として扱うルールがあれば、この場に座っていなかったかもしれない」とCBA改正への私見まで口にしたのは、財政面での誤算がどれほど切実だったかを物語る。

この数字の話とロビンソンとジョージの起用は、別々の理由から生まれた偶然の一致ではない。長期的なキャップの縛りを避けたいという判断と、ドライブからのパス供給力やドロップ・カバレッジへの適性を重視する戦術判断が、同じ夏に同じ方向を向いた結果として今のロスターがある。

なお、8月上旬にジェイソン・テイタムとステフィン・カリーがマーサズ・ヴィニヤードでゴルフをしている姿が目撃され、カリー獲得のトレード噂がファンの間で広がった件については、事実として釘を刺しておく必要がある。ポール・ジョージのサラリーは2026年9月6日まで他選手のサラリーと合算してトレードに出すことができず、制度上いま動かせる契約は限られている。ウォリアーズにカリーを放出する意思がないことも合わせれば、これは願望の域を出ない話として扱うのが妥当だろう。